戦線は膠着していた。
ポルトガル、スウェーデンは既に要塞の時代に進化している。スト美を生産し続けているロシアはまだ進化する余裕がないようだがそれはウラ乃の同僚を訓練し続けているドイツも同じ事。しかしポルトガルがオルガン砲を出してくるのは時間の問題であり、そうなると基本的に歩兵国であるスウェーデンは対抗できなくなってくる。
スウェーデンの騎兵が弱いと言う事はない。ウラ乃も一度レイターの一人、樫波レイという騎兵に会ったことがある。重装甲のためにあまり移動速度が速くはなかったが、体力攻撃力ともに素晴らしいものがあった。ただし訓練にかなりの資源が必要でどうしても数が揃わない。時代進化して基礎能力があがってからならともかく、植民の時代で彼女たちを出すのは資源的に難しいものがあった。
要塞の時代であれば彼女たちの力を発揮できる。しかし友邦のドイツが要塞の時代に進化していない以上、スウェーデンは歩兵を出し続けるしかない。したがってドイツははやく要塞の時代に進化する必要があった。
だが我がドイツにその力はあるのか。
ウラ乃達、ウーランは金コストがかかる。肉こそ50しかいらないのだが、金100というコストは他の国のハサーより20も多い。しかも体力面ではハサーにかなり劣るため、消耗が激しい。そのぶん数を用意しなくてはならないのだがそれをすると進化のための金が貯まらないのだ。ましてや今ウラ乃達が戦っているのはパタゴニア、銀鉱が少なくはないが多くもない地形である。すでに金700は本国から搬送され、ウラ乃の同僚達を訓練するのに使用されている。進化に必要な金1000は自力で採集する必要があった。
そしてウラ乃は気付いていた。先程から追加される同僚達の数が少なくなっている。明らかに進化するために訓練を止めているのだ。
「だがこの数では……!」
スウェーデンのスカ美達も頑張っている。だが移動力に優るドラ子達が少しずつウラ乃の同僚達を削っていく。スト美の数はまた増えてきていた。スカ美達はスト美達とも撃ち合わねばならず、じわじわと劣勢に立たされていく。
だがその時、ウラ乃は急激に五体に力が満ちていくのを感じた。鎧が分厚くなり、手に持った剣もずしりと重くなる。しかし同時に増した体力がそれを支えていた。
ベテラン化したのである。
もちろんこれでドラ子達に敵うわけではない。だがより耐えられるようになったのは確かだし、スト美達によりいっそう効果的な一撃を叩きつけることが可能になった。
そしてなによりこれでドイツも新ユニットが出せる。
ドイツは要塞の時代になるとスカーミッシャーと大砲、そして戦闘馬車が出せるようになる。この戦闘馬車は防御力・耐久力が非常に高く、攻撃力も不足なし、移動速度もそれほど遅くはないという優秀な兵である。訓練に時間がかかるのと一両をものにするために肉150金150という多大なコストがかかるのが欠点だが、同時にほとんどの兵に打ち勝つことの出来るドイツの守護神とも言える兵であった。
ただし今必要なのは大砲である。スト美達を吹き飛ばすのには大砲が最適であることは言うまでもない。ドラ子達はなんとかスカ美達に対処してもらい、ドイツは大砲を出してスト美達を処理、トーチカを破壊する必要があった。
だが前線についたのはスカーミッシャーのような銃を持った一団だった。
「お前達は……」
「ボクは辺瀬サン。サンたんって呼んでね」
長身に似合わない可愛らしい声で自己紹介をした銃兵は休む様子もなく引き金を引いた。
「きゃあっ!?」
ドラ子の悲鳴が聞こえた。見ると4体いたはずの竜騎兵がドラ子1体になっている。凄まじい攻撃力だった。
「傭兵か……」
「歩兵退治は私達のお仕事ー!」
スト美達が撃ちかけてくる。しかしイェーガー達は動じる様子もなく撃ち返した。瞬く間にスト美達の数が減っていく。
(これは凄い。しかしスウェーデンの兵力がほとんどスカ美になっていてこちらもイェーガー、私達ウーランはもう残り少ない。ここで相手が騎兵を出してきたら……守りきれるのか?)
ウラ乃の脳裏にそんな不吉な考えが浮かんだ瞬間、彼方に土煙が見えた。歩兵のものではない、明らかに騎兵の立てる土煙……。
「隊長、コサね達が!」
「くぅっ」
敵の数は20以上。ウラ乃達はもう10騎ほどしか残っていない。
(ここで死ぬのか)
一対一では負ける気はしない。しかしランチェスターの法則というものがある。同質の兵であれば多少能力の差があったとしても数が優る方がたいていの場合は勝つ。
例えばハサーとウーランが戦ったとしよう。一対一ではハサーが勝つ。だがハサーが3騎、ウーランが4騎であればどうか。ウーランは4騎でまずハサー1騎を倒す。その間残りのハサー2騎は4騎のウーランにある程度のダメージを与えるだろう。だが最初の1騎が倒れた瞬間、ウーラン4騎対ハサー2騎となる。ハサー1騎がウーラン1騎と差し違えたとしても次はウーラン3騎対ハサー1騎だ。野戦ではよほどの事がないかぎり、数が多い方が勝つのだ。
ましてや今回は敵の数が二倍である。力尽きるまで戦ったとしてもスカ美やサンたん達を守れるとは思えなかった。
HP250 遠隔耐性40% 攻撃/近接15・遠隔30 重歩兵x2・軽騎兵x2・騎兵馬歩兵x0.75・イーグルx2 速度4
ドイツの場合、金1000で13体出てきます
非常に能力の高いスカーミッシャーで、ドイツの場合は13体も出てくるためにコストパフォーマンスも非常に良い傭兵です。これを出しておけばしばらくスカーミッシャーの生産は要らないくらいです。名前の由来はかぶっている帽子の形。
HP340 遠隔耐性20% 攻撃/近接33 軽騎兵x0.75 速度6.5 生産コスト/肉120木120
コストがかなり高いのですが、性能も高い騎兵です。2の時代ではコストパフォーマンスが悪いのですが、ベテラン化、さらにガード化することによって非常に高い性能を持つ騎兵となります。名前の由来は生産に木を使うことから。笑えば良いと思うよ。
ドイツは基本的には2で戦う事にあまり利点のない文明です。ドッペルは2で使うにはコストが高く、ウーランは体力が低いために持久戦に向いていません。なるべく早く3入りしたいところですがあまり早く3入りすると馬が足りずにチームメイトが殲滅されることにもなりかねません。
できれば2の時代ではある程度ウーランを出しつつ荒らしに専念して時間を稼ぎたいところですが、相手の文明によってはとにかく馬を出し続けることを要求される場合もあります。が、それでもなんとか早めに3入りするべきです。金遣いの荒さからいずれは農園に移行する必要がありますのでそれを考えると4入りも視野に入れなくてはなりません。
2v2では即3はあまり無し、ただし2での戦いに引きずり込まれないように留意する、という流れが良いかと思われます。まあ場合によっては即3戦闘馬車というのもありだと思いますが。