クラン梅組

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ロシアの戦術 軍ユニット(歩兵)

――とあるトーチカで、マスケット銃兵のマス子とストレレッツのスト美が訓練をうけていた。

マス子「教官! 弾がなかなか的にあたりません!」
教官 「それは、お前が下手だからじゃないか?」
マス子「えー・・・。でも、フランスにいたころは百発百中の名手だったんですよ。この距離で的に当てられないんて・・・きっと、これが悪いんです!」
教官 「なるほど」
マス子「?」
教官 「今回、われわれロシアは旧式のマスケット銃しか手にいれることができなかったのだ」
マス子「え?」
教官 「フランスなど諸外国で採用されているマスケット銃に比べて、射程が-2、攻撃力20%低いのがロシアのマスケット銃なのだ」
マス子「!! そんなんでどうやって敵兵に勝てば・・・」
教官 「いつもより近づいて射撃すればいいし、1発で倒せないなら2発当てればよいのだ」
マス子「それは死ねって・・・ことですか?」
教官 「・・・」

銃声がひびいた、少し遅れて、キャー! という悲鳴が聞こえた。マス子と教官とが音のほうに目を向けると、スト美たちがいた。10人姉妹のスト美、そのうちの一人が地面にふしていた。一人が支給されたロシア式のライフルをかまえて、首をかしげている。

スト美「あれえ?」
教官 「・・・訓練の調子はどうかな」
スト美「ライフルでクイックショットの練習していたら、私がひとり死んじゃいました!」
教官 「そうか・・・」
スト美「でも、おかげでライフルの扱いが得意になったと思います。こんどの出撃には期待してくださいね!」
教官 「スト美はいい子だな」
スト美「えっへへー」
マス子「それでいいんですか・・・」
教官 「スト美、ちょっとそのライフルをかしてくれ」
スト美「? はい。どうぞ」

教官はスト美からライフルを受けとると、マス子に手渡して、よく調べるように言う。

教官 「わがロシアが誇るライフルだ」
マス子「なんというか、おもちゃみたいですね。小さいし」

マス子は教官にライフルを返す。教官は返されたライフルをスト美に渡して、訓練を再開するようにいう。

教官 「スカーミッシャーのライフルに比べると、射程は-6、攻撃力は約半分だ」
マス子「ちょっとそれって射程が14ってことですか? マスケット銃の射程もふつうは12ありますよ? スカーミッシャーって、私たちを遠くから狙撃するいやな奴らですけど、このライフルじゃ・・・」
教官 「だが、スト美たちをみろ。さっき姉妹が不慮の事故でなくなったというのに楽しそうに訓練に励んでいるじゃないか」

9人のスト美たちは歌を歌いながら、ライフルをいじっている。ときどき的にむけて発砲する。当たっても外れてもスト美たちは歓声をあげた。どうやら銃声そのものを気に入っている、のかもしれない。

マス子「訓練?」
教官 「いい仕上がりだな。そろそろ出撃しても大丈夫だろう」
マス子「え?」
教官 「戦場では臆したものから死んでいく。彼女たちは恐怖しそうか?」
マス子「・・・」


――前線。トーチカからはじめて外にでて見たのは、祖国の灰色とは違う、色彩の豊かな景色だった。スト美は、支給されたライフルの柄を握りこむ。がんばらなくちゃ、と。

マス子「ここが今回の戦場ね」
スト美「いい場所ですね、ずっと住みたい」
マス子「この戦いに勝てれば、この土地は私たちのものよ。がんばりましょう」
スト美「・・・はい!」

マス子の視界の端っこで何かが動く気配がある。

マス子「きたわね。スト美、援護をお願いね!」
スト美「はい!」

戦端は、スト美が援護のために射撃した一発の弾丸によって切って落とされた。
銃声はよく響いた。スト美たちはうっとりとした。銃声に敵の斥侯は気づき、石弓兵が前に進んだ。
戦いは先手を取ったロシアが優勢に進めていた。トーチカから、

スト美「助けにきたよ、私たち!」

とスト美たちが次からつぎにやって来て、敵の石弓兵、長槍兵を数でよく押さえこんだ。マス子は一歩引いたところからスト美たちの戦場をながめていた。
スト美たちは笑いながら前進し、乗りだし気味になり引き金を引いている。雰囲気は遠足、夜店の射的。けれど切実なことは、スト美たちのライフルは、石弓の射程よりも短かく、当てるためには前進しかないこと。
戦場では臆したものから死んでいく。
スト美たちのだれかが恐怖でたじろいだら? 射程の利も威力の利もないスト美たちは一方的に敗退することだろう。

戦場は生き物だ。
いつまでも相手が圧倒されているとは限らない。マス子は経験からそれを知っている、どこかで情勢が変わるはずだ。
スト美たちの絶えまない銃撃、その銃声で耳が麻痺しているけれど、マス子はその遠雷のような音に気づいた。なにか大群が移動してくる音。マス子がマスケット銃を構えると、それは現れた。
相手のハサー(騎兵)の一団だ。
ハサーは、戦場を一直線に駆けぬけてきて、スト美たちに斬りかかる。スト美はライフルを投げ捨てると、近接用に支給されたハルバードを大ぶりにふりまわした。けれど、それは届かない。まじめに訓練を受けていないスト美たちは、射撃戦なら数任せに押しきれるけれど、技量を問われる接近戦では無力だった。

マス子「スト美! さがって!」

マス子は銃剣をすばやくマスケット銃に装着すると、腰を低くしてハサーにむかって突撃した。ここが、私たちの活躍の場所だ、と。

結果は、ロシアの辛勝だった。
マス子の銃剣術はハサーに通用したが、切れ味そのものはなまくらで、ハサーに圧倒することはできなかった。
マス子とスト美とはトーチカの背後まで撤退し、トーチカからの援護射撃を利用して、なんとか勝利をもぎ取った、というところだった。



ストレレッツ
HP : 72
射程 : 2-14
攻撃 : 近接4 遠距離8 攻城7.2

マスケット銃兵(ロシア)
HP : 150
射程 : 0-10
攻撃 : 近接10.4 遠距離18.4 攻城16

ページ作成 2012.10.27 16:50 最終更新 2012.10.27 16:52