戦場が見えた。スウェーデンのマスケット銃兵達がスト美達と撃ち合っている。精鋭として知られるスウェーデンのマスケット銃兵だが数で優るスト美達に苦戦気味だ。
「全騎、突入!」
「ヤー!」
ウラ乃の率いるウーラン騎兵がスト美達との間をグングンと詰めていく。訓練が終わったばかりの5騎、本国から送られた5騎の合計10騎。スト美はざっと30人ほどいるようだが蹴散らすのに手間はいらない。
ドォン、とぶち当たった。スト美の手が飛び、首が飛ぶ。スト美の持つオモチャのような銃ではウラ乃達の薄い装甲もろくに貫く事は出来ず、ハルバードのような形はしているもののろくに研ぎ出しもしていないスト美達の槍ではウラ乃達の勢いは止められない。
「隊長!これは楽ですね!」
「油断するな!トーチカからの射撃に気をつけろ!」
ロシアの前線はスウェーデンの前線とかなり近い位置にある。すでにトーチカが二軒建ち、そこからの狙撃はウラ乃達の装甲を軽々と貫くのだ。
そしてそのトーチカから次々と出てくるスト美達。みんな同じ顔、同じ武器。子供のような顔に笑顔を貼り付けてただ前進してくる。仲間が死のうと自分が斬られようとその笑顔が曇ることはない。その異様さにウラ乃の部下達もだんだんと恐怖を感じだしていた。
「また出てきました!敵が減りません!」
「くそっ、スウェーデンのマスケット銃兵達は何をしている!はやくあのトーチカを割ってくれ!」
前線に居るのはロシア軍だけで、ポルトガル軍はまったく姿を見せない。今なら二国の物量でロシアの前線を突破し、踏みつぶすことが出来るはずだった。だがロシアの物量は一国でもドイツとスウェーデンの混成軍に匹敵している。
「このままだとポルトガルが時代進化してしまうぞ!」
ポルトガルは序盤の立ち上がりが悪い。ほとんどの文明には本国から植民を希望する農民が結構な数居るものだが、ポルトガルとロシアの農民達は国から出たがらないらしく、結果として序盤の内政の立ち上がりに問題があるのだ。ロシアは必ず三つ子で農民が生まれてくるという特徴があるためにその弱点が目立たないが、ポルトガルは違う。
ただし時代進化は工夫次第で他の文明と変わらない速度でできる。そして要塞の時代になれば全ての騎兵の悪夢、竜騎兵のドラ子達が出てくるのだ。
「押せ!押しつぶせ!」
ウラ乃は仲間たちを叱咤した。後方の騎兵訓練所からは次々にウーラン騎兵が追加されてくる。さらに祐巳達がクロスボウを撃ち始めたが当たらない。何故か石弓は3発に1発は外れるのである。
「あ、あれぇ?」
祐巳が不思議そうな顔をしてよろめいた。その胸に大きな穴が空いている。
「おかしいなぁ、矢が当たらな」
カンッと音を立ててヘルメットが飛んでいく。見かけの割に脆弱な石弓兵のヘルメットは簡単にスト美の銃に撃ち抜かれていた。
「くっ……!」
あっという間に全滅した石弓達を横目に見ながらウラ乃達は再度突撃をかける。スト美達の数は少しずつ減っていた。トーチカから現れる新手のスト美達の勢いが鈍っている。どうやら別働隊としてロシアの内政地帯に向かった騎兵隊が資源供給を邪魔しているらしい。
自分達の内政地にもロシアのコサね達が向かっているはずだがそこにはきの子達がいる。彼女たちならコサねなど問題なく斬り伏せるだろう。
「これなら……!」
だがその時、ウラ乃の隣にいたウーランが落馬した。銃声は遅れて聞こえてきた。
「間に合わなかったか!」
スト美達の後ろに流麗な衣装に身を包み、短銃を持った騎兵が現れていた。通常の騎兵とは段違いの速度、そして百発百中の射撃能力を持つ騎兵の天敵。
「ドラ子……」
「あら、ウラ乃じゃありませんか。ふふ、もしかして私達と戦うつもりですの?」
敵は脚が早い。近接して斬りかかろうにも距離を保たれ一方的に撃たれるだけだ。しかも運良く近接できたとしてもドラ子達は見かけより頑丈だ。同数程度であればこちらが斬り伏せるより先に蜂の巣にされるだろう。
「いや!まだ負けてない!」
ウラ乃は後方から近付いてくるスウェーデンの銃兵達を見て叫んだ。スウェーデンのスカーミッシャー部隊が登場したのだ。先程から兵数が少なかったスウェーデンだがそれは時代進化を急ぎ、このスカーミッシャーを出すためだった。
「お待たせしました!あの竜騎兵は任せて下さい!」
スウェーデンのスカ美が長い銃身をもつライフル銃を無造作に放った。たちまちポルトガルの竜騎兵部隊が後退する。
「ま、嫌な人達が来ましたわね」
ドラ子達はあまり射程が長くはない。カラコル研究を入れてもスカーミッシャーの射程には及ばないので引き撃ちされるとどうしても厳しい戦いを強いられる。以前はポルトガルの技術研究で射程が22まで伸びるという技もあったのだが、最近ではその技術が廃れてしまったようだ。
スト美達ではウラ乃達に敵わない。ウラ乃達はドラ子達に敵わない。ドラ子達はスカ美達に敵わない。スカ美達は数に優るスト美達に敵わない。それぞれがアンチと呼ばれる兵種となり、この戦場でいかにアンチに当たらず敵を倒すか、つまりは軍操作の巧みさに賭ける展開となったのだ。
生産 肉90金90 遠隔耐性30% HP200 速度7.25 攻撃力/近接11・遠隔22 重騎兵x3・砲撃x2・馬歩兵x2.75
3の時代ではベテラン化されて出てきますので能力はさらに上になります。
ポルトガルの竜騎兵は全文明中最強とされています。強化カードが多く、またユニークユニット扱いで4に入ればヒネーテとなり、さらにジェニトゥールのカードで射程が+6されてカラコルと合わせると22になるという凄まじい能力を持っていたからですが、FPではジェニトゥールの効果が減少し、射程+2となりました。攻撃力とHP+10%がつくようになったのですが、射程の弱体化はそのプラス分を打ち消してあまりあるものでしょう。ただしそれでも重騎兵に対しては圧倒的な戦闘力を持ち、ウーランではまず勝ち目はありません。ポルトガルが竜騎兵を出してきたら無理にウーランを当てるのではなく、スカーミッシャーを出すようにしたいものです。
栄光の軍事国家、ドイツ。精強な騎兵と恐れを知らないスカーミッシャー、硬くて強い戦闘馬車、そして近接無敵のドッペルゾルドナーがその中核を担っている。傭兵もこの軍事国家に忠誠を誓い、他の国とは段違いの協力を申し出ている。
だがその序盤は案外脆い。主力となる重騎兵であるウーランは防御力に欠け、ドッペルゾルドナーはその高い訓練コストのために数を揃えるのが難しい。スカーミッシャーと戦闘馬車は3の時代にならなくては配備できず、それまでは他国と同様の槍と弓で戦うことを強いられる。
また大砲を揃えるのが難しい文明でもある。事実上使える兵の全てが金を(それも尋常でない量を)使うため、大砲にまでまわす軍事予算がない。本国からの援助は大砲に関しては期待できない。本国にも充分な数の大砲がないのだ、植民地にまで回ってくるはずもない。
ドイツの栄光を担う中核部隊、ウーラン大隊の一員であるウラ乃が植民地に着任したのはそんな植民地の1つ、パタゴニアであった。
「動物が少ない土地だねー」
思わず独り言が口をつく。銀鉱があり、森も少なくはない。だが動物資源は多いとは言えなかった。野生の羊がいるようなので探索者、ルーデル大佐が必死に集めてはいるが、それでも充分な数とは言えない。
「海はあるんだけどね」
ドッペルゾルドナーであるきの子が海辺で石を投げていた。だが大ドイツは陸軍国だ。海に出ることが出来ないわけではないが、どうしても予算は陸軍に傾斜している。海軍にはあまり期待は出来なかった。つまり海の資源もあまり活用は出来ないだろう。
「交易所があるのがわずかな救いでしょうかぁ」
石弓を持った少女が交易路を指さした。彼女の名前は黒須祐巳。先日着任したばかりの新兵だが戦意は旺盛だ。だがウラ乃は知っている。石弓兵は装甲も薄く攻撃力も高くはない。銃器が広く普及した今の時代では時間稼ぎにしか使えない兵種である。もちろん時間は彼女たちの命を持って購われる。
「同盟国は何をしているんだ?」
彼女たちはこのパタゴニアの地で他国と同盟を結んでいる。今回同盟を結んでいるのはスウェーデンである。ドイツと同じく精強な陸軍を持つ国ではあるが、訓練に力を入れすぎる傾向があるために訓練コストが高く訓練時間が長い。確かに兵は強力だが数には期待できなかった。
「前線に歩兵訓練所を建設、マスケット銃兵を訓練しているようですよぅ」
語尾を伸ばすのが祐巳の口癖だった。重騎兵にも対抗できる銃剣を持ち、クロスボウよりも遙かに命中率、威力とも優るマスケット銃兵に対してライバル意識を抱いているようだが、ウラ乃に言わせれば比べるのも恥ずかしい。石弓の利点は金を使わずに訓練が出来るというくらいしかなく、他の点ではすべてにおいてマスケット銃兵に対して劣っていた。
(我がドイツもマスケット銃兵がいれば……)
陸軍国たるドイツに各国の主力であるマスケット銃兵がいないのは考えてみれば不思議な話だが、ないものは仕方ない。今はあるもので戦うしかないのだった。
「おう、騎兵訓練所が建ったぞ」
盛り上がった上腕二頭筋もまぶしい馬車農民達が汗を拭った。彼らはその体力に任せて他の農民の二倍働く。場合によっては戦闘にも参加し、単独で敵中に塔を建設することも厭わない勇敢で頑強な男達だ。
「感謝する」
ウラ乃はさっそく後輩達の訓練にかかった。同盟国が前線で敵と小競り合いを行っている。ドイツも早く騎兵を前線に送り込まなくてはならない。敵はドイツの永遠の仇敵であるロシア、そして過去の栄光にすがるしか能のないポルトガルである。しかしロシアにはマスケット銃兵の天敵であるスト美達がいるし、ポルトガルは3の時代に入れば竜騎兵というドイツにとっては悪夢のような兵種が出てくる文明だ。油断をして良い相手ではなかった。
ドイツには馬車農民がいます。人口枠2、通常の農民の2倍の能力があるため資源採集効率も良く、建物もあっという間に建ててくれる頼りになる農民です。さらに体力も高く、カウンターの時に楯となって活躍することもあります。したがって1の1枚目は馬車農民2を切る以外に選択肢はないと言っていいでしょう。
しかしドイツの泣き所は2の時代にあります。マスケットがないために射撃兵が石弓しかおらず、力不足は否めません。対馬は槍とドッペルがいますがドッペルはそのコストの高さゆえになかなか生産しにくいものです。ウーランも体力の低さから受けに回るとあっさりと死ぬ傾向があります。ですのでほとんどの場合2で戦うのではなく2の1枚目に金700か馬車農民3を切ることによって即3を目指すのが定石です。
IOEでは馬車農民3カードにウーラン2のおまけがつかなくなっています。そのため内政型即3の定番であった馬車農民3を切ってオマケウーラン2で荒らしながら時間を稼ぐという方法が使えなくなっています。金700から即3という方法だと3入り後の内政力にやや不安が残りますが、鉱床の節約も考えてこちらのオーダーの方がいいかもしれません。
なお馬車農民は資源採集効率が高いので鉱床に向けましょう。2000の鉱床から2666の金を回収することが出来ます。ですので2ボタンを押したら(ボーナスは肉500)馬車農民は全員鉱床に向け、450の金を集めます。150は民兵代です。通常農民は全員肉にしておけば3ボタンを押すまでに肉700は回収できるはずです。金700が届く前に金450は集め終わると思いますので馬車農民はそのまま木に向かいましょう。市場、家4軒(人口枠60を目指しましょう)、馬小屋あるいは歩兵小屋が必要です。また市場研究で肉と金一段階が欲しいところです。3入りボーナスはスカミ6が定番ですが、相手が馬シフトの時はドッペル3も有効ですし、高速進化で6分台の3入りというのも良いかもしれません。
コサねはコサック騎兵だ。
入植地が2の時代に進化したのと同時、軍事顧問として本国より招聘された。任務は2つ。1つは後進の育成、敵対する他国の入植地への威力偵察。後者は顧問の仕事ではないと思いつつも、後進が育ちきっていない以上、仕方がないと割り切った。
コサね(いい天気)
やわらかく風がふく、それには甘い花のにおいが染みている。早駆けするにはいい日和だとコサねは思うが、いまは任務に集中しなくてはならない。
しばらくしてコサねは、ひとの話し声に気づいた。
コサね(・・・軍隊ではない。緊張感のない声だ)
コサね(仕事ね)
コサねは長剣を抜刀し、声のしたほうに向けて馬を走らせた。
敵対する入植者が鹿を狩っている。かれらはコサねに気づくけれども逃げ出すより先、コサねの長剣がそのひとりに届いた。切っ先がさくり、と遅れた少女のなかに入りこむ。
コサね(・・・)
がくり、と背から腹をつらぬかれた少女は地面に倒れた。少女を残して、ほかの入植者は遠くに逃げている。少女は口から血を吐いた。なにが起こったのか分からない、という表情はすぐに激痛でゆがんだ。泣いて、叫んでいる。
コサね「あなたは感じられるのだから、幸せかもしれないよ?」
遠い国の少女だ、コサねの言葉を理解できたとは思えない。それでも、コサねの羨むような声に少女は、どうして、と小さな息で返事をした。
コサね「苦しみながら、自分の命を思いながら・・・」
コサねはスト美たちのことを思い出していた。トーチカに連れてこられた少女は、まず一日、木の棒を与えられ、捕虜を殴るように命じられる。少女が殴ることを拒めば、拒んだ数だけ彼女が折檻された。そうやって殺いでいくのだ、スト美であるためには余分なものを。そうやってスト美になっていくのだ、だれが最初にスト美になるのかは分からない。ただ、だれか必ず楽天的で、苦痛をわすれたスト美になり、それが感染するみたいに少女たちに広がる。
コサねの目の前の少女が血も吐かなくなり、呼吸も止まった。
コサね(この娘は苦しんで、死んだ。だから、スト美じゃない。おそらくそれは幸せなことだ)
コサねは馬の鼻先を反して、来た道を戻る。
こんなことをコサねはずっとくり返している。斥侯役とはそういうものだと知っているが、少しずつ辛くなる。軍隊を相手にするのと違い、一般人を襲うのは良心がいたむ。とくにスト美の存在が、コサねの心にさらに歪な陰を落としている。
コサね(こういうのが好きなやつもいたわね・・・。あいつは、最後まで理解できなかったけれど・・・。私は結局、入植地に左遷なわけだし・・・)
コサねが前線基地に戻ると、そこはお祭り騒ぎになっていた。すぐそこまで敵の一団がやってきて、攻城の準備をしている。
マス子とスト美との1隊が半壊したことは伝令から聞いている。そのあと本国から援軍にきた弓騎兵とスト美が反抗にでたことも聞いた。ということは、逆襲が逆襲されたということだろうか。
地響きのような音がした、それから風切り音がする。コサねがそのほうへ目をやると、スト美が一斉に宙を舞っている。
スト美「あれれー? 手がなくなっちゃった」
あいかわらずよく分かっていない反応だった。そうやってスト美を盾にして、馬にしがみつくように騎乗した女兵士がやってくる。負傷していた、毛皮の白と茶色の着物が赤く汚れている――タタ子だった。
タタ子はコサねを一瞥すると、苦々しく笑った。
タタ子「顧問様は、気楽だ」
コサね「なにがあったの?」
タタ子「敵が大砲とスカーミッシャーを用意した、それだけ」
コサね「そう・・・。それで、スト美を盾にして撤退というわけ?」
タタ子「?」
コサね「なんでもないよ」
タタ子が基地にもどるのと入れ替わり、教官がでてくる。
教官 「コサねか! よく戻った」
コサね「教官」
教官 「見てのとおりだ。相手は大砲を持ちだして、それからスカーミッシャーでタタ子たちを狙い撃ちにした。こちらの戦術が読まれたのだろう」
コサね「でしょうね、準備がよすぎる」
教官 「そこで、われわれも相手の裏をかかなくちゃいけない」
コサね「この状況では奇策に走るしかないでしょう」
教官 「だから、準備した。おいで!」
教官がさけぶと、ずらずらと騎乗した少女がやってくる。タタールではない、統一された軍服を着た騎兵の一団だ。コサねの見たことのある顔ぶれ、彼女が鍛えている少女たちだ。
コサね「! 彼女たちはまだ実戦には・・・」
教官 「うん、きみからの報告は聞いている。そして、きみのことを私は信用している」
コサね「いま出撃してもいたずらに死者がでるだけです」
教官 「欲しいのは、未来の一流の騎兵ではなく、一流でなくてもいい今いる騎兵だ。彼女たちにはスト美と同じ訓練を受けてもらった」
コサねは反射的に目の前の少女たちにむかって、彼女たちの名前をさけんだ。馬にまたがった少女たちは首をかしげるばかりだ。
教官 「コサね・・・きみには彼女らを率いて敵を撃破してもらいたい」
コサね「・・・。命令ですか」
教官 「当たり前だろ。私は指揮官でもあるのだから」
コサね「分かりました」
コサねは行くぞ、と少女たちにむかって叫ぶと、馬の腹をけった、全力で全速で前線に突撃しよう。そのコサねに少女たちは従う、歯車のように乱れない動きだ。
前線はひどい有様だった。
スト美たちがそこかしかに倒れていて、そうでありながらも彼女たちはライフルをつかむと射撃する。その反動で、スト美の傷口から血がふきだす。真っ青になった唇で笑いながら、スト美は射撃をつづけている。
砲弾が、そのスト美の頭をふきとばした。
コサねは一気にそれを駆けぬけると、敵の一団に突撃した。
ロシアが騎兵を用意したのが意外だったのか――コサねは少なくともこのタイミングでの騎兵の投入はないと思っていた――敵陣は総崩れになった。タタールとスト美たちの一団とは違う、統率された軍隊の突撃は、簡単に敵を打破り、ふたたび戦線を押しかえした。
生き残ったスト美たちは、馬上のコサねたちの後ろを走って追いかけた。
コサねが後ろをふり返ると、スト美とコサックの少女たちが、同じような笑顔をうかべているのに気づいた。コサねは、さきほど殺した敵の少女の顔が頭にうかんだ。スト美たちのなかには軽傷ではないものも含まれている――ひとり重症だったスト美が地面にたおれて、動けなくなった。最期までスト美は笑っている。
コサねが敵の前線に到着すると、そこはもう焼け野原になっていた。
前線のあった場所に入植者の死体が積まれていて、それを嬉しそうに見あげる女がいた。コサねのよく知っている顔だ。
女 「よう。ずいぶん遅いじゃないか」
コサね「オプ江、どうして」
オプ江「入植地に反逆的なやつがいるって、前々から報告があがっていてね。見聞を広めるのもいいだろうってことで、出張したのさ」
コサね「それがなんで前線に?」
オプ江「簡単だろ、入植地のクズどもができなかったことをやりとげる、私の有能さを上に訴えるには、これ以上はないさ」
コサね「・・・」
オプ江「で、話は変わるんだけれど、お前さ、私のために反逆者にならない?」
コサね「意味わからないわ、それもこんな人の目のあるところでいうこと?」
オプ江「あいつらが、会話を理解できているとでも?」
コサねがふり返る。彼女に従ってきたスト美や彼女が鍛えてきた少女たちはみんな一様に同じ笑顔をうかべていた。
コサね「間違っている」
オプ江「最後まで残ったほうが、正解だよ」
・
・
・
よく晴れた冬の日。ここは祖国と違い、雪の積もらない土地だ。
戦い、勝ち取った土地であり、その戦いに私も従軍していたという。従軍したときの記憶は、すとんと抜け落ちている。棚から荷物を捨てたみたいに、その部分だけ欠落している。
それは同じように従軍していた少女たちに共通していることだった。
日々の生活に忙殺されて、その欠落を気にするものはないようだ。ただ、私はときどきそれが気になって、植民地の周囲を散歩するのだ。戦場のあとを歩き、何かを思い出せるのではないか、と思う。
その日もそうで、私は当てもないのに戦場を歩いていて、一つの武器の破片を見つけた。銃剣だったか、それの一部であり、見ると悲しくなった。きっと欠落した記憶に関係するのだろう。
私は破片を持ちかえり、家の棚に置いた。残りの破片をすべて揃えることができたら、なにか大事なことを思い出せるだろう、と。
コサック
HP : 225
射程 : -
攻撃 : 近接26 遠距離- 攻城15
※ 人口コスト1
オプリーチニック
HP : 250
射程 : -
攻撃 : 近接20 遠距離- 攻城75
※ 農民×3のボーナスダメージ